1.訪問する前に準備すること
- 家族会の情報を集める
- リーフレット、ホームページ資料、連絡先等の資料を持参できるように準備
- 事前にご家庭から「同じような子どもを育てている家族に会いたい」という希望があれば、家族会へ連絡をする。JDS岡山支部では日程が合えば、相談員が一緒に訪問することも可能です。
- 障がいがある子を育てるために必要な福祉・療育情報の資料を持参できるように準備
【福祉情報】
- 福祉情報冊子(在住市町村のものがあれば)
- 身体障害者手帳申請書類(内部疾患等が重度の場合)
- 外科的治療の予定があっても、期限付きで支給される場合があります。
- 特別児童扶養手当申請書類(内部疾患等が重度の場合)
- 幼児期以降、知的障がいが重度になった場合も申請できます。
- 障害児福祉手当申請書類(内部疾患等がかなり重度の場合)
- 知的障がいが最重度になった場合も申請できます。
- 障害福祉サービス利用申請書(手帳がない場合医師の意見書が必要です)
- 相談支援ファイル(障がいのある方やその家族の方が、本人のプロフィールや医療・福祉に関する記録、相談記録などさまざまな内容を一冊にまとめて保存できるファイル)
JDS岡山支部会員の多くは、生後半年~2歳頃に取得しています。児童デイサービスの療育施設を利用する場合や、保育園に早期に入園させる場合など、0歳児でも手帳を所持するメリットがあります。また、税金が軽減されるなどの福祉サービスも得ることができます。
【ダウン症がある赤ちゃんの食事の注意点】
- ダウン症がある赤ちゃんは新生児の頃は哺乳力が弱く、上手に哺乳できないことがあります。しかし、母乳育児は口腔機能の発達を促し、免疫を高めるなど様々な効果が期待できるので、助産師等に相談しながら母乳育児を継続することをおすすめします。
- 離乳食は生後6ヶ月ごろから始めて大丈夫です。口腔機能の発達は体の発達と同様にゆっくりなので、期間を長目にとり慎重に進めるようにします。
- 離乳食の進め方が早すぎると、丸呑みの癖がついたり偏食がひどくなったりし、成長してから大食い、肥満につながる傾向があります。
- 離乳食は摂食指導(岡山大学病院スペシャルニーズ歯科センター,旭川荘医療・療育センター)を受けながら進めるとよいです。
<療育とは>
「治療」+「教育」のことです。子どもはみんなたくさんの可能性を持っています。早期に療育をすることで子どもの発達を促すことが可能です。特にダウン症がある赤ちゃんは生後まもなくから開始できるマッサージや生後3ヶ月頃から開始できる赤ちゃん体操などの療育を実施することで、筋緊張低下による不適切な姿勢を改善することができ、親子のふれあいを促す効果が得られます。
【療育機関・施設】(岡山県内のダウン症がある赤ちゃんがよく利用している施設の一部)
- 乳幼児あゆみ教室(岡山市民のみ受講可能。他の療育との併用不可):運動の発達が遅れている可能性があるお子さんに、発達のアドバイスを行う教室です。
- JDS岡山支部事務局長(定藤)が赤ちゃん体操指導員をしております。岡山市民が対象で、基本的に第3火曜日9時半~12時に実施しております。
- 旭川荘医療・療育センター(作業療法,理学療法,言語療法,摂食指導)
- 病院療育(倉敷中央病院,川崎医科大学附属病院,重井医学研究所附属病院 など)
- 岡山白ゆり発達支援センター(赤ちゃん体操,個別レッスン,グループレッスン)
- 子供の城協会 ダウン症療育支部教室(津山支部教室)
※ 2023年8月15日作成時の情報
2.ダウン症がある赤ちゃんを持つご家庭へ訪問したとき
言わないでほしい内容 |
言ってほしい内容 |
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生命の誕生について | 「ダウン症で残念でしたね」生まれてきてはいけない命だという印象を与えてしまいます。 | 「ご出産おめでとうございます」 |
検査について | 「妊娠中に検査をしなかったのですか?」検査をして、生まれないようにすればよかったのではないかという印象を伝えてしまいます。 | 「赤ちゃんは生まれたいっていう気持ちが強かったのですね」命の誕生について、否定的な発言をしないでください。 |
子育ての不安について | 「虐待するのではないか」という疑いの目で見すぎないでほしい。また、障がいがあることで「ダメな人生になる」という思い込みで話さないでほしい。 | 不安に思う気持ちについて共感してほしい。しかし、個性豊かな感情も芽生えてゆっくり育っていくことも伝えてほしい。 |
合併症の不安について | 知らない情報は不用意に助言しないようにしてほしい。 | 合併症については、専門医と相談しながら治療をする必要がありますが、元気に育っている子どもはたくさんいます。 |
共働き家庭の不安について | 障がい児は母親が育児に専念すべきという一方的な価値観を押し付けないようにしてほしい。 | 両親共働きをして、育児と仕事を両立している家庭も多くあります。ご夫婦のどちらかが退職しなくても継続できる方法を選ばれるのであれば、そのためのサポート情報(ファミリーサポート、保育所等)も提供してほしい。 |
次の妊娠への不安について | 知らない情報は不用意に助言しないようにしてほしい。 | 遺伝カウンセリングを勧めてください(川崎医科大学附属病院遺伝外来・倉敷中央病院遺伝診療部など)。 |
訪問を終えるときについて | 「また来ます」本当に行く予定がないのだったら、「また来ます」と言わないほうが良い。 | 「また、今度お電話します」本当に1か月後くらいに、電話をしてください。必要があればまた訪問をしてほしいです。 |
<メッセージ>
ダウン症のある赤ちゃんを授かった親にとっては、何をどうしていけば良いのか、将来どうなるのか、という不安がたくさん湧いてきます。親戚や近所の方にどう説明したら良いのか…など、通常の育児に加えて多くの悩みも抱えてしまいます。
同じ境遇の親に会うことで、そうした不安や悩みを一つひとつ解決していくことができます。また、同じ境遇の親と話すことで気持ちが楽になることもあります。
JDS(日本ダウン症協会)岡山支部では、専門知識を持った相談員がピアカウンセリングを実施しています。早期につないでいただき、行政だけでは対応できない部分をサポートさせてもらいたいと願っています。
支部長 上地玲子
岡山県内保健師向け:ダウン症を持つ赤ちゃんのご家庭へ訪問する際に大切なこと
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